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2026/04/13 00:21
前回までの記事
「納得がいかなかった絵」「ヴィルコンらしい絵とは」など
「絵が先か、詩が先か」など
「夫婦が仲良くいるためには」など
ヴィルコンさんは知れば知るほど、どんどん惹かれてしまう作品とその人柄。
ヴィルコンさんを動画で見てみたら、さらに惹かれました。
最後にヴィルコンさんの動物への考えを抜粋してご紹介します。
最後にヴィルコンさんの動物への考えを抜粋してご紹介します。
面白くて、ついウルっときてしまいました。
インタビューで必ず聞かれている「動物を描く理由」
(ヴィルコンさんは、『こういう理由でこうだ』、というストレートな回答はなかなかしません)
「ドン・キホーテも描いたし、パン・タデウシュも描いた、これまでたくさん人間も描いてきているから動物ばっかりというのは同意しないね」としつつも、「動物は自分にとって特別な存在だ」と話しています。
パン・タデウシュの挿絵はこちらから何枚か見れます→
https://ksiazkiprzyherbacie.pl/pan-tadeusz-mickiewicz-wilkon#galleryName=productGallery,imageNumber=5-copied
https://ksiazkiprzyherbacie.pl/pan-tadeusz-mickiewicz-wilkon#galleryName=productGallery,imageNumber=5-copied
(Pan Tadeusz自体は19世紀ポーランドの文豪詩人アダム・ミツキェヴィチによる叙事詩。超・超・超!有名作品)
ヴィルコンさんは田舎で生まれ育ち、小さい頃から家の近くには牧草地や森があり、常に自然と動物に囲まれた環境で、友達と自然の中で遊びながら「最高の幼少期を過ごした」とのこと。
牧草地で牛たちの見張り役としてお世話していたそうですが、特にPyziaと名付けられた牝牛のことが大好きで、そのころから動物の賢さに気づいていたようです。(家は賃貸で転々としていたようですが、常に農地は借りていたそうです。祖父母のお家にはさらに大きな農地がありそこはさらに沢山の動物や鳥-クジャクまでも!がいたんだそうな)
牧草地で牛たちの見張り役としてお世話していたそうですが、特にPyziaと名付けられた牝牛のことが大好きで、そのころから動物の賢さに気づいていたようです。(家は賃貸で転々としていたようですが、常に農地は借りていたそうです。祖父母のお家にはさらに大きな農地がありそこはさらに沢山の動物や鳥-クジャクまでも!がいたんだそうな)
この20分ほどの動画、ポーランド語だけでなく英語版もあります!幼少期のヴィルコンさんを妄想できる必見動画。
やっぱりスマホとかチックトクとかAIとかにまみれた子供時代よりこういう方が100倍いいと思ってしまうなあ。昭和の人間です...(嘆いても仕方ない)

(ピンが立っているところがヴィルコンさんが生まれ育ったBoguciceボグチツェ)
「最高の幼少期」とはいえ、第2次世界大戦(ヴィルコンさん9歳~15歳くらいの時)を生き抜いたヴィルコンさんは「何とか運よく家族みんな無事だった、ギリギリのところで助かったことが何度もあった」と話しています。
目の前でユダヤ人の人々が銃殺される現場もみてしまったり、その時の「青い警察」(=総督府ポーランド警察:1939年12月ナチスの命令で設置された主にポーランド人警察官で構成された警察組織。構成員になることを拒んだ警察は処刑されたという。ナチスの命令で自国での虐殺に加担するか、処刑されるかの選択。なんというか地獄の中の地獄ですね)のことも目に焼き付いている、と・・・。
「動物界は生きるために殺傷は避けられないことで、それが自然だ。でも人間だけが全く意味のない戦争で意味のない殺し合いをしょうと思いついてしまった」ということも話していました。
オオカミには特別な思いがあるようで、「オオカミは大好きだ。だが心底恐れている」と。
「幼少期からオオカミは身近だったけど、大人も出版物もオオカミ=恐ろしい動物だというレッテルを貼りすぎた、あまりにも人間が反オオカミに行き過ぎていた、だから俺はオオカミ側に立った絵本を書いた」
「その時代は報奨金ほしさに大人たちがオオカミを殺しまくってたんだよ!今は大分保護されるようになって、オオカミたちも暮らし易くなって良かった」
(当時は殺した証拠にオオカミの体の一部を持っていけば1000ズウォティ支払われたらしい)
オオカミの他にもクジャク、馬はとくにヴィルコンさんを象徴する動物かもしれません。
(当時は殺した証拠にオオカミの体の一部を持っていけば1000ズウォティ支払われたらしい)
オオカミの他にもクジャク、馬はとくにヴィルコンさんを象徴する動物かもしれません。
この動画では、
「どんな動物も考えながら生きている。100%確信している、彼らは思考力をもったイキモノだ。彼らをちょっと観察すれば分かること。だから、我々人間は動物との関係を見直さないといけない。人間含め小さな動物も大きな動物もみんな兄弟で、大きな自然の一部に過ぎない。そのことに気づかないと、後々人間は痛い目にあうだろう。ちょっとしゃべり過ぎたね」
と、所々語気を強めながらおっしゃっていました。
キリスト教の世界観が(自分の理解があっているか分かりませんが)自然界の中心は人間で、人間が自然を支配してしかるべき、というような考えに基づいている事と、ヴィルコンさんがキリスト教を信仰していない事が何かつながるような気もしました。
あとは、「自分は反ラ・フォンテーヌ主義者」でポーランド語のイディオム「ロバのように馬鹿」とか「ロバのように頑固」といった人間のネガティブな比喩に動物を使うことに断固反対していると色々なインタビューで答えています。「人間のようにアホ」と言い換えるのが好きなんだ、と。
La Fontaineラフォンテーヌというのは、『アリとセミ』とか、悪いライオンと馬鹿なロバが出てくる『ペストにかかった動物たち』など、イソップ物語のような動物を使った寓話・風刺話で有名なフランスの作家。
ちらっと読んだ感じラフォンテーヌさんの物語は寓話としてとても面白そうでしたが、確かに、何となく刷り込みができてしまうのは動物にとって不憫というか、いい迷惑・・・ですね。
ちらっと読んだ感じラフォンテーヌさんの物語は寓話としてとても面白そうでしたが、確かに、何となく刷り込みができてしまうのは動物にとって不憫というか、いい迷惑・・・ですね。
だからヴィルコンさんが動物の絵本を作るときは、人間の持っている良い面を動物に重ねて描くのだそう。
ちょっと脱線ですが
ヴィルコンさんのインタビューを見ていると、話しの途中で急にガ!っと語気が強まることが多くてギョッ!とすることがあります(きいていてハラハラする)。
ヴィルコンさんのインタビューを見ていると、話しの途中で急にガ!っと語気が強まることが多くてギョッ!とすることがあります(きいていてハラハラする)。
でも心の叫びのようで、嘘いつわりのない発言なんだろうなあと感じます。
「母とはとても仲が良かった、でも特段口にだしてkocham(コハム=愛してる)なんて伝えたことがなかった。(語気強めて)めっちゃくちゃ後悔してるんだ!!!!!だから普段からもっと愛してるって感情は言葉に出して伝えるべきなんだ」
「(激高しながら)最近のポーランド語はなんでもかんでも英語を混ぜて言いやがって!!!ポーランド語を話せってんだよ!!!!」
というお話がすごい印象に残りました。(日本もポーランドもやたら英語混ぜたりとか、似たような現象が起こるんですよね。ポーランドも少子化で子供よりペットがいいなんて話もあったり。良いのか悪いのかは置いておいて、面白い。)
あとはコロナ禍の話も面白かった。
コロナ禍は大変だった一面もあるけど、ヴィルコンさん自身は「若い時と比べても、こんなに充実して集中して創作できたことはない気がするな」と、前向きに話されています。
「創作活動は仕事ではあるけど、今まで自分のやっている事に信念を失ったこともないし欝々した気分になった事もない、落ち着いた気持ちで仕事に向き合えていることに満足している。仕事中は他のことを忘れられるリラックス時間でもある。今ほど良く仕事できたことはないよ。」と当時推定91歳のヴィルコンさんが言うと重みがすごい!
以前どこかで見た「続くからスゴイんじゃない、スゴイから続くんだ」というtheブルーハーツの甲本ヒロトさんの言葉を思い出しました。
美術館さんのお声がけのおかげで、ヴィルコンさんを知れてよかった!
ぜひ長野の安曇野ちひろ美術館で、ヴィルコンさんの世界を味わってみてください。
こりゃあ自分も行かなきゃだな。
注)
ヴィルコンさんの言葉として日本語で紹介しているものは、端折っていたり、分かりやすさのために意訳したり、あっちのインタビューとこっちのインタビューが混ざっていたり要約していたり、一語一句そのままの訳ではございません(訳の稚拙さは言うまでもなく)。ないように努めていますが間違いもあるかもしれません。
厳密に考えると、全てのインタビュー記事を作った人(会社)に参照していいか日本語で紹介していいか許可をもらうべきなのかという疑問も生まれてきて、人物の紹介ってなかなか難しいなと感じているところです。
沢山のインタビューを読んだり聞いたりしたものを咀嚼し、そこから印象に残った部分を紹介しようという試みをしているわけですが、間違いがないように元記事を参照するのが著作権にひっかかってしまうのか否か。
これだとポーランド人の偉大な方々の紹介するのが現実的ではなくなってしまいます。
これだとポーランド人の偉大な方々の紹介するのが現実的ではなくなってしまいます。
あと訳に関してですが、ヴィルコンさんが日本人なら「私」というのか「俺」というのかという難問があり、今回は何となくしゃべり方、言葉のチョイスとかから「俺」にしています(品と知性の塊りでありなが、ワイルドなのです)。
インタビュー記事自体もライターさんの編集が入って本当の言葉からは離れているであろうところに、さらにそれを咀嚼して要約して日本語にしているので、あくまでフィルターを何度か通した後のヴィルコンさんの言葉という感じでご承知おきくださいまし|д゚)
何かご指摘やアドバイスがありましたらメールを頂ければ幸いです[email protected]
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最後に参照した動画をいくつかご紹介。
この動画ではクジャクの絵のデモンストレーションとか(必見)、オーバー90歳のヴィルコンさんがiPad使って絵を描く様子とか、ポーランド語関係なく目でみて楽しめると思います!
この動画ではヴィルコンさんが描いたお父さんの肖像画も見れます。
