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2026/04/11 01:11

Józef Wilkoń (ユゼフ ヴィルコン)さんというポーランド人の画家をご存じでしょうか。


(2024年のお写真。Wikipediaより)

彼の絵本は世界中で出版されているので、日本でもファンの方がいるくらい知っている人は知っている存在。
でもおそらく名前だけをきいて「あ!あのひとだ」と分かる人は少数かもしれません(私も分からなかったうちの一人)。


ヴィルコンさんは若い頃から画家として活躍し現在96歳(1930年2月12日生まれ)。
とんでもなく長いキャリアをお持ちで、かつ今でも元気でいらっしゃるということに心底驚かされます。(日本の元気なご長寿の代名詞、黒柳徹子さんは92歳だから、さらに上だ!)

「ヴィルコンさんといえば動物」、というくらいに動物をモチーフにした作品がたくさんあり、絵だけにとどまらず彫刻や木造の巨大なオブジェ(とよんでいいのか不明ですが)など数々作られてきました。
(苗字もWilk=「オオカミ」、Koń =「馬」を合わせたような見事な動物っぽいお名前)

(動物が顔出してる!)

絵や作品を見ると、よほどの動物好きなんだなあと動物への深い愛情と敬意みたいなものが感じられて、動物好きの自分としてもヴィルコンさん自身に興味が沸き、色んなインタビューをつまみ読みしました。
ほんの少ししか調べられてないですがWilkońさんはやはり想像以上に面白い人だった!

というわけで面白いなあと感じたエピソードをいくつかご紹介したいと思います。

エピソード1:若かりし頃の絵は破り捨てたいくらいだった。けど、絵は後から手直ししてはいけない!
ヴィルコンさん、昔(おそらく1960年代)は"Ruch"(ルフ)という国営の出版社からの依頼で絵本の絵を描いていたそう。
その時に描いていた絵は、当時から自信なく描いていて、後々見返しても破りたいくらい納得がいっていなかったそうです。
でもさらに後々見返してみると(長いキャリアだから「後々」にも段階があって深いですね)、若い頃の絵はそれはそれでその芸術家の変化が見れるし、その時の流行りが反映されていたり、その時の自分自身が表れているから歴史として残す必要がある、原画を手直ししなくて良かった、と。
間違えた描き方すら、時を経て見返せばそれなりの独特の魅力がある、と仰っています。

(このページに他のイラストも載っていますhttp://tralaloskop.blogspot.com/2012/01/lesny-lot.html


これらが破り捨てたかった時代の絵だそうです。
いやいや、最高にかわいいぞおおお!

絵本タイトル 
1つ目「Leśny lot(レシニ ロット)」  (大まかな意味:森の飛行)
2つ目「O Słowiczku Podróżniczku(オ スォヴィチュク ポドルジュニチュク)」(大まかな意味:旅人サヨナキドリのこと)





そして「ヴィルコンイズム」ができてきた時代の絵本↓
タイトル:Przygoda Pewnego Pawia プシゴダ ペヴネゴ パヴィア あるクジャクの冒険


(読んだインタビューにはもう一つのクジャクの絵本「Pawie Wiersze(クジャクの詩)」の名前を挙げていましたがほぼ同年代の作品)

タイトル:Iv i Finetta  人の名前かな?ポーランド語名ではないのでよく分からない



タイトル:W Nieparyżu i gdzie indziej フ ニエパリジュ イ グジェ インジェイ(パリジャナイと他のところで)


水彩(液体)、インク(墨)の使い方、筆の動き、そして偶然性。
これらの組み合わせがヴィルコン作品をヴィルコンたらしめている。
みたいなことがインタビュー記事に書いてありました。(絵用語がよくわからないので、ざっくりしたことしか理解できていないと思いますが・・・)

初期の絵だってすでに極めているように見えるけど、確かにその後の作品はそこからさらに世界観ができあがっているのが自分のような素人でも(ヴィルコンさんの解説を聞いた後なら)分かる気がしました。
芸術家ってすごいなあ、ヴィルコンさんすごいなああ!

「液体を生かした絵はもう十分やりきった!今まで液体だったから、次は固いやつ!」ということでパステル(チョークのようなやつ)を使った画法に移ります。
(この最後のW Nieparyżuは画法が液体から変わってきた時のやつっぽく見えますが、真偽不明)
そしてパステルはやりきった!と思ったら、彫刻へ。確か80年代に偶然がきっかけで木から動物を作るようになった、と言っていました。(動画で見れますが、今でも杖ついて歩いているかと思ったらチェーンソーで丸太を軽々削っていくもんだから、びっくりします)
さらにはiPadも使ってみたり。(「iPadの問題は、『原画』が残らないんだよ!」と言っていたのが面白かった)
しかもおそらく90歳を超えた時のインタビューで「この年で改めて油絵を勉強しなおしたらどうなるか、面白いだろうね」とも語っていました。

同じスタイルでやり続けるというのは性に合わないみたいです。
そして何をやってもヴィルコンイズムが出てるのが、凄い。


美術というものを知らない自分が感じたヴィルコンさんらしさは
・偶然性
・メリハリ(抜くとこは抜くというシンプルさが秀逸)
・何より、かわいい
とにかくカワイイ、理屈抜きにしてカワイイ。
でもカワイイってポーランド語で伝えづらいから悔しいなあ・・・
なんかショパンの音楽にも通ずるような気がします。シンプルさといい、計算と偶然性のバランスといい、理屈抜きにしてメロディとか和音がキュンとするところとか。

偶然にも、現在お隣の町府中市美術館で展示されている「長沢蘆雪」展でもカワイさがいかに大事なのか学芸員の金子さんという方が熱く再評価されていました!こんな「カワイイ」とか「美術」とかいうワードでブログを書いていたから、たぶんグーグルアンドロイドがニュースをピックアップしてくれたんでしょう。笑

いやあ、本当に通ずるものを感じます。最初はカワイイ動物とか墨のぼかした感じとかシンプルさとかが葛飾北斎(画狂老人なところもw)と少しリンクするような気がしていましたが、蘆雪さんこそヴィルコンさんのふわっとしたカワイイとより近い匂いがする・・・気がします。

長沢蘆雪 《菊花子犬図》
うげげ。かわいいです。

脱線:出版社の「Ruch」という文字にピンと来た方へ。
ポーランド旅行に行けば必ず目にするであろう、今もポーランド中にある売店スタンドRuchと、このヴィルコンさんの絵本を作っていた出版社Ruch、名前が同じなのは偶然ではありません!



「Ruch」自体の起源は、1918年ポーランド独立と共に国民に情報を届けて強い国家を作ろうみたいな意味を込めて出版物を広める駅のキオスクのような本屋スタンドとして生まれたそうです。あくまで民間企業。そのRuchが大成功しポーランド中の駅に新聞や本、おそらく出版物以外の商品もあつかう小売りスタンドとして広まったそうです。今のJRでいうところのNewDaysみたいな感じですかね。
そこから戦争を経て、戦後の暗黒の共産主義時代の始まりとともに国営化され役割も少しづつ変化、拡大、分業化していき、他の国営出版社と統合したりなんなりを繰り返した結果、出版社Ruchができたそうです。(ちょっと複雑すぎたので全ては追えず、雑なことしか分かりません)
共産主義の終焉とともにRuchは民営化され、上の写真の通り現在もポーランドの日常の一部といっていいくらいに親しまれている存在だとは思いますが、経営難でスタンドの数はどんどん減っているそうです。時代の流れですねェ。
ちなみにRuchとはポーランド語で「動き」「流れ」「活気」みたいな意味。お店の人とかは「お客さんの入り」みたいな意味でも使います。

絵の参照ブログなど


つづき
「詩が先か、絵が先か」など
「夫婦が仲良くいるためには」など
「ヴィルコンさんと動物」など
https://poland.saleshop.jp/blog/2026/04/13/002106

そんなヴィルコンさんの展覧会が日本は長野県、「安曇野ちひろ美術館」で6月までやっております!
(期間:2026年3月1日~6月7日)
そして4月19日(日)は≪ヴィルコンデー≫という特別な一日で、読み聞かせやギャラリートーク、ヴィルコンさんに関する映画の上映があったりと内容盛りだくさん。

美術館内のカフェでポンチキも提供されます!


安曇野ちひろ美術館
〒399-8501 長野県北安曇郡松川村西原3358-24
https://chihiro.jp/azumino/visit/#directions



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