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2024/12/30 23:21
【2024年ポーランド若者言葉流行語20候補】
日本ではユーキャンが企画している「日本流行語大賞」というものがありますが、
ポーランドでは「PWN」という、かつて国営だった学術系出版社が主催している流行語大賞的なものがあります。
ノミネートされた20語の中から、一般の投票で1位が決まる仕組みで、今年は「Sigma」に決まりました。(どんな意味かは、↓をご覧ください)
普段からSNSもゲームも縁遠く、ポーランド語と接するとしても品行方正な(笑)ラジオやニュースしか見聞きしない私日本人としては、以下のほとんどの言葉は見た事も聞いた事もありません。
“流行語“が一般的にはあまり流行していない問題は、日本もポーランドもアルアルなのかもしれません。
ではノミネートされた20語をご紹介します。
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Aura【アウラ】
オーラ。日本語でもよく聞く「あの人何か良いオーラでてる」「やばいオーラ放ってる」みたいな状況で使うようです。ちなみにロシア語の2024年の流行語にもвайб(vibe)が入っていました。日本でも「バイブス」って言葉をよく聞くようになったし、何だか似てますね。
auraはもともと「天気」っていう意味で使われますし、このオーラという使い方も特段新しいとも思えないので、ノミネートされていたことが意外でした。
Azbest 【アズベスト】
所謂アスベストです。TikTok上で「俺たち今アスベストを流し込んでるぜ!」みたいな動画が話題になったらしく、そこから、環境破壊して行き過ぎた開発ばかりのデベロッパーに対する嫌悪感を象徴するような言葉になったらしい。
そもそもアスベストは吹き付けるものですし、実際の動画ではアスベストではなくコンクリだかセメントを流し込んでいるだけのようなので、動画自体はフェイクというか注目集めだけのもののようです。
Bambik【バンビック】
ダメで無知で物事を上手くできない人のこと。もともとはゲームFortniteで使われた言葉らしい…。たぶん小鹿のバンビみたいなことかと思います。
Brainrot 【ブレインロット】
英語そのままの意味で脳が溶けちゃってる状態のこと。ネット中毒で頭空っぽになってしまっているような人を差すようです。
この言葉はオックスフォード大学の2024年の言葉に選ばれていたので、その流れなのかな。
Brat 【ブラット】
普通ポーランド語ではbratといえば「兄弟」という意味ですが、ここでは英語そのままの意味「悪ガキ」のようです。イギリスで人気の歌手チャ―リ―XCXって人のアルバムタイトルだそうです。日本ではそんなに流行っていない気がしますがどうなんでしょう。試しにYoutubeで聞いてみたら、ああ確かに今のヨーロッパの若い人好きそって感じでした。
Cringe 【クリンジュ】
これも英語。英語でもともと「縮む」という意味で、スラングだと「気まずくさせる」みたいな意味になるそうです。
じわじわポーランド語化されているようで、krindż とかkrindżowaćとか書くようです。日本語でいう「うわ、キモ」「ダサ」「引くわー」みたいな感じでしょうか。言われたくない言葉ナンバーワンです。
Czemó 【チェム】
口語の「なぜ」という単語czemuをわざとスペルミスした言葉で、発音もチェモ~みたいな感じらしい。
TikTok上でゲームFortniteをやっている2人の会話が発端らしく、言い方が面白かったのか、そこから流行った(?)らしい。
Delulu 【デルル】
これも英語delusionalから。現実を見ず、妄想に浸って生きているような人のこと。
fe!n / fein /
fin
これも英語fiend(悪魔のような人)からきているようです。Travis Scottというラッパーの曲のタイトルだそうで、薬物とか何かに中毒になってる人を差すようです。
fr / FR
これも英語から、For real(本当に)の略語。
glamur /
glamour
これも英語でよく聞く派手さとかエレガントさを表す単語ですが、最近の流行りではTikTokでヒョウ柄の洋服を着るスタイルをこう呼ぶようです。
興味深いのが、先述のオックスフォード大学の2024年の言葉の中にdemure(控えめ)という単語が入っていました。これは先述のチャーリーXCXのアルバムBratから派生した派手派手しいスタイルに対立する、落ち着いたスタイルとして注目された言葉だそうです。
2025年のポーランド流行語でdeumreが入ってたら笑えますね。
注)glamourの語源はスコットランドの古い言葉だそう
GOAT
これも英語から。Greatest Of All Time(史上最高)の頭文字です。
oi oi oi baka
これはナゾです。日本のアニメで出てきた言葉で、「オイオイオイ、馬鹿」ってことらしいです。日本人としては、何だかムズ痒くなるような日本語です。
ちなみにポーランドの俳優さんでMirosław Baka(ミロスワフ バカ)という方がいます。キェシロフスキのデカローグの殺人に関する話で主人公の青年を演じていた人ですが、お名前を見るたびに日本に移住したら大変だなと思っていました。
Oporowo 【オポロヴォ】
珍しくポーランド語の流行語。Opór(抵抗)という名詞からできた副詞で、「断固として」みたいな意味です。
ポーランド語の副詞はoで終わるのとeで終わるものが多いですが、oで終わるやつのほうが口語っぽいのが多くて好きです。これはウケねらいで覚えておこうかな。でもすべったら嫌だから結局一生使わないだろうな。
riz / rizzler
/ rizz
英語のcharisma(カリスマ)から。カリスマ性のある人をこう呼ぶそうです。
ちなみに「オックスフォード大学2023年の言葉」として選ばれたのがこのRizzという言葉でした。じわりじわりと時間をかけてイギリスからポーランドにやってきた流行のようです。
Sigma 【スィグマ】
日本のカメラレンズが流行ったわけではなく、これも英語圏からのこぼれ球みたいなスラングです。
一匹狼でカッコイイ人、成功者、みたいな意味らしいです。
Skibidi
いよいよ意味が分からなくなってきました…Skibidiは良い意味でも悪い意味でも奇想天外なものに付けて使うようです。
「Skibidi Toilet」という、便器から頭がひょっこり出ている動画が流行ったらしいですが、検索してみても本当に意味不明でした。。。
Slay
これも英語から。しびれるほどカッコいい物事に使うらしい。
womp womp
これも英語から。「はいはい」「つまんねー」「はやく終われ」みたいなヤジだそうです。
Yapping
これも英語から。一つのことについて長ったらしく話をする事をyappingというそう。
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以上です。
ポーランド語の流行語というか、英語派生のネットスラングのオンパレードじゃないか!
これをポーランドの流行語と言っていいのか、ポーランド語に誇りはないのか、と突っ込みたくなりますが、これはこれで日本の流行語大賞とも違うポーランドならでは?の特徴が表れていて、面白いといえば面白いかなと思いました(ここまで読んでくれた方、どうでしょう・・・)
若者言葉にスポットライトをあてているポーランドに対して、世間一般のざっくりとした日本の流行語大賞とはそもそも趣旨の違いがありますが。
日本は時事ネタとかスポーツとか映画ドラマのタイトルとかそんなのばかりで、もはや流行語ですらないんじゃないかという声も聞こえてきますが、ポーランドほど英語に浸食されていないのは(良い点を頑張って探すとすれば)良い事なのかもしれない。単に英語が苦手ということかもしれないですが。
とにかく英語の多さ、ネットやゲーム関連の(意味がよく分からない)言葉の多さが目立っています。これでポーランドの若者文化を全て知れるわけでは全くないですが、正直何だかなあと思ってしまいました。
逆に何十年も前のポーランドでどんな言葉が流行っていたのかちょっとググってみると、それはそれは面白い言葉がたくさん出てきました。(機会があれば是非ご紹介したいです)
2024年のこのナゾ流行語も、何十年も経ったら面白いと思えるのかな・・・。
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